あの山この沢

丹沢、早戸川間子小屋沢(笹ノ沢)
旧丹沢観光センターの下流に深い淵で出合う荒沢
から遡行開始、多くの滝が深く大きな釜を持っている
 

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早戸川林道から早
戸川本流に下降し
て荒沢を目指す


荒沢出合

高巻道からの滝

出合の連瀑帯の
落口は大きな淵
となっている

この沢は小さな
滝でもどこも釜が
大きくて深い

間子小屋沢出合か
らの荒沢、荒沢の
方が水量が少ない

間子小屋沢出合か
らの間子小屋沢、
地元では笹ノ沢

スラブを登る
小滝やナメ滝が立
て続けに現れる、

深い釜
滝は小さくても
釜は大きく深い

巨岩帯、
背丈を越す大岩
が折り重なる

岩が折り重なってで
きた3m滝、水流に
足場を探して登る

右側はきれいなトイ

きれいなナメ
大きな一枚岩が
磨かれている

左から12m滝

2m滝上は取水跡

取水池上の5m滝
ここも釜は
意外と深い

トイ状5m滝
どこでも簡
単に登れる

10m滝

きれいな
形をした
4mナメ滝

このあたりは
沢床が岩盤
になっている

釜の深い1.5m滝
左のバンドを
簡単に越せる

トイ状2m滝
ツルツルの
水流も登れる

二股手前の
2.5m滝
ここも釜は深い

二股
左を笹ノ沢、右は
井原寺沢という

2段5m滝

4mナメ、釜深い

奥の二股
ここは水量の
多い右に進む

最後の滝らしい滝

この沢も1000m
を越すと雪渓が
現れた

最上部のガレ
行き詰ったら左の
超小尾根に逃げる

コースタイム
早戸川林道荒沢出合対岸550m(10分)荒沢出合520m(20分)出合の連瀑帯の上535m
(22分)間子小屋沢(笹ノ沢)出合605m(15分)巨岩帯終わる660m(35分)取水タンク745m
(30分)最初の丸太橋850m(17分)二股(左俣=笹ノ沢、右俣=井原寺沢)910m
(30分)奥の二股1015m右へ(15分)最奥の二股1065m左へ(17分)左の小尾根に1175m
(10分)姫次榛ノ木丸稜線1260m(10分)榛ノ木丸1312m(5分)大平分岐1280m
(40分)魚止橋林道ヘアピン→
(15分)林道荒沢出合対岸

2005年4月29日
この沢は、昭文社の「山と高原地図」の『丹沢』や山と渓谷社の『丹沢の谷110』の概念図では間子小屋沢、古い日地出版の「登山・ハイキングシリーズ」の『丹沢山塊』ではマッコウ小屋沢、早戸川林道の 県の治山治水事業看板ではマッコウ沢、奥野林道にある同じく県の看板ではマゴ沢、地元の猟師や山林関係者の間では笹ノ沢など、かなり呼び名に違いがある。
こうした場合、当然地元の人たちが呼んでいる名称がいちばん正しいとするのが素直だが、地元の山関係者の間でも不統一な呼び名の氾濫に諦め感があって、今更この名(笹ノ沢)が正しいと言い張る気もなさそうだ。結局印刷物にして広範囲の人たちに垂れ流す名称が主流になっていくのだろう。ここでは、タイトルには一般に流布されている間子小屋沢の名称を使うことにしたが、地元の山関係者で通用する名称はあくまでも笹ノ沢だ。
昔昭和30年代まで、今の奥野林道が伝道に向かう途中、大平の先荒沢を渡った後一つ尾根を越してこの沢を渡るあたりに炭焼き小屋があったそうで、それをマッコウ小屋といっていたそうだ。そして、マッコウといえばその付近の地名であって、沢の名称や沢を指すことはないそうだ。さらに、いつから「間子」の字があてられたかもう分からないようだが、マゴと発音することには根拠がなく、したがって「マゴ」沢ということはありえないようだ。尚、このほとんど水平な道が伝道まで続いていた跡は今も残っている。この道を昔は牛に木材を引かせていたそうだ。
また、この沢は二股から上流の右俣については井原寺(セイゲンジ)沢と別名がついている。姫次から焼山に至る稜線の向こう側麓の津久井町青野原に井原寺というお寺があり、そのお寺の建築材を稜線のこちら側(右俣の上流)で調達していたことに由来する名称だそうだ。
★さて、早戸川には荒沢と合流して一つになって出合うのだが、地図で見る限りこの間子小屋沢のほうが谷も深く流程も長くいかにも本流のように思える。実際にも水量は間子小屋沢の方が多い。が、地元でも早戸川に注ぐ沢は荒沢といっているし、釣師たちの間でも出合は荒沢で通用しているようだ。
★したがって、今回遡行したのは早戸川の荒沢出合から荒沢下部を遡行し、笹ノ沢(間子小屋沢)出合から笹ノ沢を源流まで詰めたことになる。
★荒沢出合への下降は多分最も簡単なのは少し下流の井戸沢出合対岸からかもしれない
(この下降は井戸沢のページ参照)が、本流をだいぶん遡るようになる。その次は、この井戸沢出合の広い河原を過ぎて、林道が小刻みにカーブし大平へのハイキング道の下降点から下る方法があり、これがポピュラーかもしれない。
さらにもう一つ、林道の山側に小沢があって林道を側溝が横切っている位置の対岸がちょうど荒沢出合で、ここに車2台は駐車できる。ところがこの溝のような涸れ沢を下降していくと直下に出合が見下ろせるが10mの断崖になっているので、懸垂でなければ川に降りれない。ロープを出したくなければ駐車した林道を2カーブ下ってつるっぱげの疎林帯を下れば早戸川のいちばん狭いノドに下降できる。本流を右に回り込めば出合だ。
出合はかなりの水量で、4段の滝で出合う。下からはいちばん上の段は見えない。落差はないからわけないと思って近づくと、全体にどの釜もものすごく深くて大きい。1段目2mを登ると2段目1mは右の際を首まで浸かって突破できる。ところがその上の5mはハングしていて取り付けない。仕方なくドボンと1m滝の釜に飛び込んで戻る。左岸に高巻道があるので高巻くことにする。この道はしっかりしている。
★3段目を巻くと4段目の釜で釣でもするのかロープが垂れている。しかし、これに掴まって降りても4段目を釜を泳いで取り付く気もしないので、道なりに全部高巻く。あんまり遠くまで行くと落口が見れないので、斜面を走り下って、4段目落口上に戻るように降りる。4段目を登るとすると左のリッジだろうが、ヌルヌルにぬめっていそうだ。
★この連瀑帯の上は平凡な河原の流れになるが、どこの釜もかなり深そうで大きい。しかし河原が広いので無理に釜を泳ぐこともなく、左右のゴーロを歩けばすむ。
左岸右岸に幕営適地の台地を過ぎると、正面に荒沢のゴーロが一直線に伸びている所で左から直角に笹ノ沢がゴルジュで出合う。笹ノ沢の方が水量が多い。笹ノ沢に入りさらに左に曲がり右に曲がるとゴルジュは終わり、沢は大きな岩のゴーロとなる。大岩は徐々にさらに大きくなり巨岩帯となるが、傾斜はそれほどではない。
◎荒沢については、早戸川荒沢のページを参照のこと。
★巨岩帯が終わりインゼルを過ぎると右岸に植林帯を見て、小滝やトイ状滝が連続するようになる。どれも釜が深い。
正面に10mぐらいのスラブを流れ落ちるきれいな形をした滝を見ると流れは右折し、深い釜を持つ2m滝の向こうに6m滝が逆くの字型に構えている。そばに鉛ビ管が散乱している。昔大平に県のキャンプ場があったころの取水口があった跡だ。6m滝は釜が深そうで登れそうもないので右手に高巻くと、すぐに取水タンクが3本ある。ここから取水池点検用だろうかしっかりした踏跡があり、これを辿る。パイプはここからのびているので、滝壺が取水池なのではなく滝上の落口の大きな淵から取水してたようだ。
★このすぐ上の5m垂直滝(写真4段目左端)は、右側の乾いたスラブを登る。
★ここからは小滝やナメ滝が幾つも数え切れないほど続き、相変わらず釜は深く大きい。
取水タンクから約30分沢床に岩盤が現れるあたりで、右上の斜面から仕事道が降りてきて丸木橋で沢を渡る。丸木橋が合計4本(回)、右から来た仕事道が最終的に右に去って行くと、水量比3:2の二股となる。右俣は井原寺(セイゲンジ)沢だ。
★左俣に入ってもまだ釜の深い小滝やチムニー滝が続き、広い河原になると、奥の二股だ。水量比1:2で、ここは右に入る。
★右に入るとすぐに30mはありそうな大ナメ滝となる。下2段は水流を登り、かなり立っている上の段は右から取り付いて水流に移って登る。
ナメを過ぎ水量も減ってくると最奥の二股で、ここを左にとると少しゴルジュっぽくなって、倒木と雪渓で歩きにくくなってきた。雪渓上を約10分、高度差にして60mも登ると、溝はガレとなって、ほとんど立っておれなくなるので、左の小尾根に移って直上すれば、姫次から榛ノ木丸への稜線上の最低鞍部にたどり着く。尾根上にはしっかりした道があり、左に10分で榛ノ木丸の最高地点だ。
榛ノ木丸からの下山路は、大杉沢のページを参照のこと。

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