あの山この沢

丹沢、神ノ川大岩沢(大谷沢)
犬越路を経て神ノ川ヒュッテへ下る

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犬越路方向に進むと
大谷沢の標識

堰堤を4つ越すと
滝場が現れる

F1(奥)、5m滝
水流を跨いで登る

F3、7m滝
どこでも登れる

ゴルジュ中にある滝
釜に入って登る

ゴルジュ最奥には
F4(10m)、直近の右
の凹角を登る

右上にバンドがある

岩小屋付近から見た
小滝群、この辺りの
景色は穏やか

F7、7m滝左壁をよじ
登り滝上にトラバー
ス後、懸垂下降

F8、流水左を登る

核心部を過ぎると林
道が横切っている

F9、4段15m滝
階段状で簡単

すぐ上にはF10、
3段15m滝

稜線が見え始めても
ツメはまだまだ

振り返ると蛭ヶ岳
が望める

熊笹ノ峰の背後に
檜洞丸が見える

最後の滝F12(6m)
意外とやさしい

崩壊地右端をつめる
と縦走路に出る

犬越路手前からの
蛭ヶ岳と檜洞丸

沢の途中から林道
を下るとこに合流

コースタイム
神ノ川ヒュッテ560m(12分)大岩沢出合620m(15分)堰堤4つ上710m
(5分)
F4(10m滝)下790m(15分)小屋810m
(13分)
F7(7m滝)下860m(10分)F8(10m)上900m(10分)林道が横切る960m
(20分)F9(4段15m滝)下1050m(15分)F11(10m涸滝)1140m
(10分)F12(6m涸滝)1290m(35分)崩壊地ツメへの分岐1440m
(20分)縦走路(大室山と白石峠分岐の直下)1550m(35分)犬越路1060m
(10分)林道合流(犬越トンネル方面940m(40分)神ノ川ヒュッテ

2002年5月25日
大岩沢はガイドブック等では『初級』となっているが、鎖やカラビナ等の設置してある表丹沢などの初級や中級コースよりはかなり手ごたえのある沢で、ほとんどの滝を側壁や流心を登攀する場合キビシイ部分もあり、決して侮ってはいけない沢であろう。大きな滝がないというだけでその昔誰かが初級と決めただけでその後のガイドブック著者達も踏襲しているだけのように思える。
最近刊の山と渓谷社『決定版関東周辺沢登りベスト50コース』によると、「要所要所に赤テープがあり」と書かれているが、まったくの嘘である。下山に使う犬越路からの東海自然歩道が度重なる台風や昨年の大雪による土砂崩れによってかなり崩壊しているので、ハイキングコースにはハイキングコースにもかかわらず赤テープ等が要所要所にあることの勘違いだろう。
★高巻く場合にもほとんど踏跡さえない。それぐらい人の入らない地域である。
神ノ川林道は日陰沢橋(神ノ川ヒュッテ)より先は一般車通行止めである。以前はゲート前の広い空地に駐車できたが、今は県が鋼鉄製のガードレールを道路脇に敷き詰め、Uターンもままならない状況である。裏丹沢(北丹沢)側の登山口 であるにもかかわらず、車では入山するなという意味か。ヒュッテのわずかな狭い駐車場だけでは止め切れないこともあり(年間を通してめったにないが)はるか手前から路上駐車の 常態。県が一時期道路脇に杭を打ってヒュッテに金を払わないと止めれなくして不評を買って取っ払っていたのにどうしたことか。
入谷点は、ヒュッテ横の犬越路へのコンクリ道を登っていったん左へカーブした後、道がまた沢に近づいた所で、堰堤上が植樹記念の杭や「大矢沢」の標識が立っている所だ。詳しいことは神ノ川日蔭沢」を参照。
★沢に入って1つ目のコンクリートの堰堤は左から、あとの鉄製の3つの堰堤は右側から越す。
F1(5m)は釜の左から落水を浴びながら跨ぎ、右の凹角を攀じる。左半身はシャワーになる。落口は綺麗な丸い釜(かなり深そう)となっている。この釜の左リッジを登って高巻いてF2の上に出る踏跡がある。
しかし、F2はリッジから側壁上のバンドに上がりトラバースすれば落口に抜けれる。ただし、ハング気味の側壁から滝壁に移る所(滝壺の真上)はバンドがなくなり、一歩が厳しい部分もある。
★F3(7m)は濡れたくなければ、左の泥っぽい壁を登る。
F4(10m)は、ゴルジュの中の左岸に顕著な左斜上した凹角があるので、これを攀じるとバンドに出る。バンドで、右からの綺麗に磨かれた岩のルンゼを越えると滝の真上手前に達する。しかし、ここでバンドがなくなり落口へ距離2m落差1mほどの緊張させられるトラバースをして着地しなければならない。以前は短い虎ロープがしっかり固定されていて頼りになったのだが、今はそれも途中で引きちぎられているので要注意。直下は薄暗い釜である。
★F4の通過には
ゴルジュ手前の左岸の泥ルンゼから取り付く踏跡もある。かなり上で左の小尾根へトラバースして、上記の綺麗な岩のルンゼを越え、さらに小尾根をトラバースして滝の落口真上に切れ込む上記のシビアな着地を余儀なくされるルンゼを10m懸垂下降して落口に達する方法もある。
F7(7m)は手前に落差1.5m足らずだがツルツルに磨かれた水流も弧を描いて落ちる釜を持った滝がある。高巻く場合はこの小滝の手前から右岸の泥壁を側壁上に這い上がるようだが、小滝を通過した場合は7m滝直近の左壁を攀じり立ち木に掴まれば安全圏、少し登ると高巻きトラバースルートに達する。すぐに滝上は通過できるが、沢に下りるには約4mの空中懸垂か約10mの斜め懸垂を強いられる。
F8(V字状10m)大滝 手前の2m滝は釜をへつって水流を登る。V字状滝は左(右岸)の泥ルンゼから滝の側壁(ハングしている)にある立ち木に懸垂で乗りあがって側壁上をトラバースするとあっけなく落ち口に達する。この滝の高巻きルートは左岸にあるようだが、沢には懸垂で下りることになる。
★この沢の核心はF8までかもしれない。林道が横切っている所から下山する場合、東海自然歩道まで沢(滝)を3か所横切るが、どこも崩れている。対岸に道がない1か所は左下にヘアピンしているので、あわてないこと。また山腹の斜面が2か所くずれていて、はじめの広大なザレは滑落に注意、日陰沢まで落ち込んでいる。
参考タイム (2000年8月12日)
沢→(30分)東海自然歩道→(35分)神ノ川ヒュッテ
☆追記:2003年5月25日歩いたところ、植林の間伐をやっていて、そのため、沢を横切る所で崩れていた部分には丸太のはしごが掛けられており、危険な部分は減った。大崩壊のザレ場は、再び道らしくなっている。
東海自然歩道方向ではなく、北へ日陰沢新道方向へ下るには、林道を北に進み、いくつか足場が崩れた箇所を過ぎ、植林帯の尾根に回り込んだら、水平方向でなく、尾根の南側面をジグザグに急下降する道をとる。右側が大崩壊している所もあるので注意が必要。尾根の北側面からの日陰沢新道と合わされば、あとは一気に神ノ川ヒュッテへ。
参考タイム 
沢→(20分)水平歩道から分岐→(15分)日陰沢新道→(20分)神ノ川ヒュッテ
★F9(4段15m)、F10(3段15m)はつながっていて、ほとんど階段状で問題なく登れる。この上で水は涸れる。
★水が涸れてから傾斜は増すが、ツメまでは長い。涸れた小滝や岩床がいつまでも続き、比較的にガレてはいない。
★最後に左からの泥の崩壊地の右端を稜線(縦走路)までつめないで、忠実に沢をつめると、大室山の北東尾根(日陰沢新道)のロープが張ってある所に飛び出す。左へ15分も登ると大室山頂上である。山頂から神ノ川ヒュッテまで、犬越路経由で約90分だが、日陰沢新道経由だと約75分。
参考タイム (1996年6月30日)
崩壊地→(20分)日陰沢新道→(15分)大室山頂上→(30分)尾根道から分岐(鐘撞山分岐)→(10分)仕事道分岐→(35分)神ノ川ヒュッテ

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