あの山この沢

北丹沢、神ノ川
矢駄尾根で山スキー

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神ノ川ヒュッテ

尾根の下部は急峻

途中で林道が横切る

急峻な植林帯

ブナ林が始まる

フリーベンチャー

明るいブナ林を登る

1m近くの積雪

シュプール

植林帯は滑れない

コースタイム
神ノ川ヒュッテ550m(10分)矢駄 尾根(熊笹ノ峰コース)取付点560m
(45分)上部の林道875m(60分)植林帯終わる1250m
シール登高
(60分)熊笹ノ峰(稜線)1500m(15分)植林帯
(60分)
下の林道(5分)神ノ川ヒュッテ

2005年2月26日
★今年は暖冬になるだろうとの長期予報に反し、年末から雪がよく降る。我家あたりでも降ればたいていは雪になり数センチから十数センチはいつも積もるので、北丹沢の北面斜面は相当積もっているだろう、これならスキーができるだろうと予想して、スキーを担いで丹沢で山スキーをやってきた。
1月初旬に積雪たっぷりの主稜線を歩き(PHOTO BBS参照)おおよその予想はできたが、さらに1月最後の土曜日にソリ・ワカン・スノーシューを持って孫や娘、妻を連れて神ノ川ヒュッテまで行ってみたところ、周辺は期待以上のものすごい積雪(当時ヒュッテ前で締まった状態で50cmぐらい)で、こんな近場で もスキー場のゲレンデ並みに、あるいは斜面あり凍った川ありの雪山を楽しむことができた。
★毎週のように冬の山行予定が入っていてなかなか独自の計画が立てれなく、我家の窓から臨める丹沢の白い北斜面を雪が消えないよう祈るような気持ちで毎日眺めていた。ちょうど前日に雪になる予報の出ていた2月最後の土曜日、上越の不遇の山にラッセルに行く仲間の計画に心も少し揺れながら、しかし近年丹沢も雪が少なくなっているので、このときを逃すとまたいつ何年後にスキーができるほど積もるかわからないので、意を決し「丹沢で山スキー」を選択した。仲間の後日報告によるとアチラもすごい雪で結局途中敗退とのこと、丹沢を選択して良かった良かった。
★その「良かった」になるためにはそれなりの誤算による苦労があった。マ、ほんの少し良かっただけかも。
丹沢でスキーができるほどの斜面・雪原ってどこにあるの?と聞かれると、丹沢のあらゆる山域を徘徊熟知してるわけではないので、人様にお勧めできるほどの場所ではないかもしれない。この冬あたりは昔1年だけスキー場が開設されたという菩提峠辺りでも滑れるのかもしれないので、一等いい場所かどうかあやしいが、間違いなくそれなりの大雪原になっているのは早戸川流域の通称白馬尾根だ。そりゃどこ?となるが、蛭ヶ岳の少し東、鬼ヶ岩ノ頭(1608m)付近から北東に派生し早戸川の雷平に急降下する尾根のことだ。この尾根の中腹1450m辺りから1300mあたりまで(下山道を外れれば1250m付近まで)広大なカヤトの草原がある。その昔植林のため伐採したものの植林しないまま放置されこうなったのだそうだ。地元の津久井町鳥屋(トヤ)から遠望すると、冬に雪が降るとこの草原がちょうど白馬が跳びはねるような形に真っ白になることから名付けられたそうだ。夏の白馬尾根についてはこちらを参照。
★この白馬尾根に行く最短路は、やはり早戸川林道を終点の丹沢観光センターまで車で入り、そこからスキーを担いで約2時間、林道・登山道・河岸水平道・河原・植林帯の仕事道を延々と歩くルートだろう。草原(雪原)の末端からはシールを付けての登高が1時間ぐらいか。この程度の高度差・距離だから、もちろんいざ滑降もアッという間に終わり、ホンマモンの山スキーが味わえるわけではない ので念のため。
★理屈は以上の如くで、以前から計画は考えていたものの、実際には重くて長い板を担いでの山道歩きを敬遠して、実行はしなかった。長い板を担いで行けばきっと水平道や河原歩きで板を岩壁にかすり、樹林帯では枝に引っ掛けていただろう。
★今まで気づかなかったのだが、ロシニョール社から商品名「フリーベンチャー」(旧名「フリートレック」)というショートスキーの山スキーがあることを知り、今年友人からそれを格安で手に入れることができた。これなら長年の計画も実現できる、やっとその日が訪れたのだ。そして、当日準備万端気軽に早戸川林道の終点に向かった。
この早戸川は毎年年間を通して何度も何度も入っているのだが、不覚にも最近に限ってもう1年以上も来てなかった。もうかなり以前から経営不振だった早戸川観光センターが昨秋営業終了・閉鎖していたのだ。このため、早戸川林道もかなり手前の「国際マス釣場」で閉鎖され、その先は通行止めになっていた(PHOTO BBS参照)。ここから歩いたんでは終点まで1時間半は余分に時間がかかる。どうしよう? 雪原末端まで3時間半近く頑張るか? いや、よそう。でもせっかくの上越もフイにしてるんだから、このまま温泉ってわけにもいかない! でも長年の計画実現もひょっとして永久にパーかな? 
★ということで、長年の夢やら当日の二者択一やらが頭を駆け巡り一時呆然自失、次は一瞬にして二番手候補のピックアプとなり、冬場によく通っている神ノ川矢駄尾根上部のブナ林なら2時間強で行けるな、アソコなら雪もたっぷりある からグ〜ッだなと判断。
★さてさて、神ノ川ヒュッテまで来て積雪はバッチシってことで、いざ矢駄尾根に取り付いてみると、いつもはほとんど下山路として利用しているので気づかなかったが、この尾根は 意外にも急勾配で痩せている。しかし、約2時間植林帯の部分はどちらにしろ滑れるわけではないので、我慢してえっちらおっちらスキーを担いで登った。朝は止んでいた雪もボンボン降ってきた。今朝までの新雪が植林帯上部で20cmはある。
植林帯を抜けると傾斜も緩んで、シール登高向きの疎林帯になる。シールを付けて登ると緩やかに見えていた斜面も結構急だ。所々はジグザグ登高で切り抜ける。樹林帯でもフリーベンチャーなら簡単に向きが変えれる。 ずり落ちそうなところは、樹林を掴んで強引に登る。一昨夜来の新雪で板は潜るが、歩けないほどではない。記憶に反してブナ林はそんなにはまばらではない。いつまでも密林のまま、シール登高を開始して1時間強やっと稜線に達する。 深いところは1m近くの積雪だ。
かなりくたくたになっていよいよ滑降だが、新雪に潜って滑りにくい。しかし傾斜は想像以上に急で怖いほどしっかりヨク滑ってくれる。だが、樹林帯はまるで密林だ。スキーが上手ければ何てことないのかもしれないが、密林でスピードが出すぎないように細かく細かくターンを繰り返す。とはいっても4,5回ターンすると一旦停止、またスタート。数分でもう膝や腿がガクガクになってきた。およそ15分で植林帯まで降りてきた。チョコッと植林帯も滑ってみたが、ものすごい急斜面の密林帯になって、スキーはここまで。板をはずし、担いで1時間で駐車場に下山。
ということで、矢駄尾根はスキーを担いで2時間、シールで1時間、滑降10分、担いで下山1時間ってコースでした。

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