あの山この沢
早戸川中ノ沢から蛭ヶ岳
中ノ沢と又兵衛沢の中間尾根(中ノ沢尾根)の下降
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コースタイム
丹沢観光センター600m→(45分)雷平810m→(5分)中ノ沢出合850m
→(25分)水晶崩レ沢出合970m→(45分)鬼ケ岩沢出合1120m
→(25分)6m幅広滝1280m→(10分)チョックストン滝上1300m
→(10分)ルンゼ状滝上1330m→中ノ沢尾根の顕著なリッジ状枝尾根に取付く
→(30分)中ノ沢尾根の雪原南端の一角1500m→(50分)蛭ヶ岳山頂1673m
→(45分)鹿柵上部出入口(積雪で扉が開閉できない)1240m
→(25分)雷滝下900m→(15分)雷平→(40分)丹沢観光センター
2003年3月21日
★丹沢観光センターから先の林道は、観光センターます釣り場に下りていく道の少し先、観光センターが取水している小沢を渡った所に10tを越す巨大な大岩が斜面上部から落ちてきて道路を塞いでいるので、車は通れない。その先は、舗装道路も車が入らないので積雪に覆われている。
★伝道までの林道は日陰になる所だけ積雪が残っている。
★伝道から山道に入ると、タップリ雪が残っている。深いところは50cmぐらいある。
★中ノ沢に入るには、雷平から雷滝までの原小屋沢左岸の踏跡をたどるのが普通だが、雷平からしばらく左岸を行くと原小屋沢を渡る丸太橋(写真)がある。これを渡って白馬尾根末端台地をトラバースして行けば、中ノ沢の出合から20mぐらい入ったところに飛び出す。積雪は多いが、かなりの降雪直後でない限り、林業関係者が仕事で使っているので、迷うことはないだろう。
★中ノ沢に入ると傾斜が増
す。流れているところ以外は全面雪に覆われ、どこを踏んでも足首から膝ぐらいまで埋まる。今年は雪の舞った日は多かったものの大雪になったことがないので、行く前から雪渓状を歩けることは期待しなっかたが、ここまで雪に足をとられ、岩の隙間に足をとられで、歩きづらいことまでは予想しなかった。
★広大な雪原状の河原を何度か渡渉を繰り返し、岩の隙間に雪を踏み抜かないように気を付けながら遡行すると、水晶崩レ沢が右から出会う。
★さらに雪の河原を進むと二俣状になる。左が鬼ケ岩沢で、中ノ沢本谷は幅広のナメ滝で、薄氷が張っていた。
★中ノ沢は鬼ケ岩沢を分けた後も河原が続くが、
蛭ヶ岳山頂にツメるまで途中3か所6〜8mの滝がある。どれもさほど難しくはないが巻き道はないので、
雪の着き具合が気になったが、滝そのものは写真にあるように薄氷が張っている程度で雪はかぶっていなかった。この沢を下降に使う場合には、ロープなしではこの3か所に手こずることになる。
★最初の6m滝はほとんど垂直だが、右端が簡単に登れる。この滝は落口で本流は左折している。
★次の8mチョックストン滝は6m滝のすぐ上(本流が左折しているので落口のすぐ左)にある。夏場であれば濡れながら快適に登れるが、水滴を避け、さらに薄氷に気を使いながらの登攀はそう簡単ではない。チョックストンの右に抜ければいいのだが、上は完全に雪を被っていて、掴み所がないので大変だ。
★この滝を過ぎると谷は狭まり、積雪も俄然増えてきた。右岸(左側)斜面からの雪崩跡が随所に見られる。点発生湿雪表層雪崩の典型かも。デブリがしっかり沢
を埋め尽くしている感じで、圧雪状のデブリの上を歩けば埋まらないだろうといい加減に歩くと膝上まで潜ったり、岩に躓いたりでなかなか進まない。
★4m滝でさらに谷は狭まるが、今朝雪崩たばかりの跡もあり、全身埋まるほどの大きな雪崩ではないにしても、下半身でも埋まると、この湿雪では身動き取れなくなりそうだ。
★このままツメれば蛭ヶ岳山荘のすぐ下に辿り着くのだが、左手には鬼ケ岩から派生する白馬尾根の大草原(大雪原)、前方頭上には鬼ケ岩から蛭ヶ岳への稜線が見え、もう右手の大きな尾根が中ノ沢尾根だとわかるところまで来ているので、早々と右の枝尾根に逃げることにした。
★小さなリッジ状の尾根を気の根っこに掴まりながらしばらく登ると尾根は幅広くなり、突如広大な雪原状の疎林帯に辿り着いた。予想よりもだいぶん雪原の下部に着いてしまったが、ここまで来ればどこを登ろうと、頂上はもうすぐだ。
★広大な斜面は谷と違ってせいぜいくるぶし程度までしか埋まらないので快適だ。所々吹き溜まりっぽいところは腿まで埋まるが、こんな気持ちよいところは丹沢のここにしかない。どこでも歩けるし、見通しはきくし、誰もいない、すばらしい景色だ。
★山頂から早戸川に下山するには、もちろんこの尾根を忠実に下るのが最短だ。
★この尾根の夏道は尾根の一番北側にあるが、踏跡もなくテープが目印になるだけだ。ただしいろんな色のテープが適当にいい加減に付けてあるので要注意だ。
★今回は雪原のどこでも歩けるので適当に気ままに下ってみた。夏道から大きくは外れてないはずなのに、夏道を正確に下ったわけで
はないので見落としかもしれないが、以前あった「御成マットクラブ」の標識は今回見当たらなかった。このルートについてはこちらのページを参照のこと。
★鹿柵からは鹿柵の中に入って仕事道を拾って下るのが一番迷わない方法だが、今回は積雪で出入口の扉が動かなく、やむなく雷滝への直下降ルートを選んだ。積雪で動かない柵を越えて入っても、出口でまた苦労するかもしれない。
★夏場であれば、鹿柵の外は結構な藪漕ぎになり、見通しも悪いのだが、積雪期には意外と楽だ。ただし、傾斜がかなり急で、頭上の木立と同時に足元も気をつけなくてはならない。
★アッと言う間に雷滝落口そばに至り、これまた夏場よりも楽に滝下まで下れば、もう雷平まではすぐだ。
★中ノ沢尾根の下降ルートについては、「又兵衛沢」のページを見てください。