東京司法書士会三多摩支会
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 支会ニュース「アダージョマエストーソ」 第107号 2012,08,28

 ■ 目 次
  1. 三士会立川、「不動産登記・商業登記で注意したいこと」と題して勉強会を開催
  2. 立川支部セミナーにて「融資に有利な会社の作り方」を学ぶ
  3. 毎週金曜日、首相官邸前〜国会議事堂前で行われている脱原発・反原発集会に参加して

 平成24年7月13日(金) 三士会立川で勉強会「不動産登記・商業登記で注意したいこと」

 今年度第2回めの立川三士会の勉強会は、東京司法書士会立川支部の石原由貴先生が講師となり、「不動産登記・商業登記で注意してもらいたいこと」をテーマに、場所は東京三弁護士会多摩支部にて、7月13日におこなわれました。
 普段より司法書士の業務は弁護士、税理士の業務と密接に関わっており、登記制度の「正しい権利関係を公示する」という性質上、訴訟や契約が終結したり、税務の見通しがたったのちに依頼がくることが多いといえます。
 しかし、案件の仕上げともいえる登記申請の部分で、実は登記ができないような申請の内容であったり、うっかり見落としている事項があると、せっかくまとまりかけた案件も、最悪また振り出しに戻ってしまうおそれがあります。
 そこで、他の二士(弁護士、税理士)からのかねてからの熱いご要望にお応えする形で、登記業務にお
ける注意すべき点をまとめた講義をおこないました。 
 やはりテーマが待ち望んでいたものであっただけに、たくさんの参加者が集い、活発に質問が投げかけられました。また、今回の内容は司法書士にとっても、知識の確認になり、特に新人の司法書士からは「自分が業務をおこなう上で、大変勉強になりました。」という感想が目立ちました。
 勉強会のあとは立川駅北口そばにある居酒屋・竹取御殿にて、三士が賑やかに懇親会をおこないました。勉強会中では時間がなくて質問できなかったことや、実務の裏話について、お酒を飲みながらざっくばらんに語り合いました。
 今回の勉強会、懇親会を通し、より三士の絆が深まったと実感した、立川三士会委員からの報告でした。 上へ

 平成24年8月2日(木) 立川支部セミナー、「融資に有利な会社の作り方」を学ぶ

 連日のうだるような暑さの中、立川市女性総合センター「アイム」において今年度最初となる立川支部セミナーが、8月2日開催されました。
 今回のテーマは、会社が設立時ま たは継続中に必ず必要とされるであろう銀行融資に関して、設立時から私たちがアドバイスしておくべきことについてでした。
 私たち司法書士は、日頃から会社の設立に携わる機会が多いですが、登記事項である会社の目的や資本金の
額などが、設立後、会社が銀行融資を受ける際に少なからず影響を与える場合があることをご存知でしょうか。とかく私たちの仕事は登記完了までと思いがちですが、会社にとっては正にここからがスタートとなります。会社が永続していくためには様々な方法での資金調達が不可欠であり、有利な融資を受けることができれば経営は安定したものとなるのです。
 今回は企業の資金調達に詳しい中小企業診断士の六角明雄先生を外部講師としてお招きし、将来の融資を見据えた設立登記の仕方についてご講義いただきました。
 例えば、10万円の資本金で株式会社を設立することは当然可能ですが、そのような会社に果たして銀行はお金を貸してくれるのか、許認可を通すためには都の要求する目的を具体的に書かなければいけませんが、そうすることでコンプライアンスの観点から銀行は融資を嫌がってしまうのではないか、最初の役
員は多ければ多いほど会社の信用としてはどうなのかなど、法律論とはまた違った視点での講義は、私にとって大変興味深いものでした。
 私たちが相談を受ける際どうしても法律的に可能か否か、そういった適法性の判断ばかりを意識してしまいがちですが、このような実務的なアドバイスまで伝えることができれば依頼者の方に大変喜ばれるのだろうと思いました。 上へ

 毎週金曜日、首相官邸前〜国会議事堂前で行われている脱原発・反原発集会に参加して

 毎週金曜日の夕方から行われている首相官邸前での「反原発集会」を取材した。(HP編集室)
 首都圏で昨年何度か反原発集会を開いてきたいくつかのグループが「首都圏反原発連合」を結成して、本年3月末より、毎週金曜日の午後6時から8時まで、首相官邸前 (周辺)で反原発・脱原発・再稼動反
対の抗議行動を行っている。現在では公式に名を連ねる参加グループは13団体と個人有志ということであるが、毎集会に参加している団体やグループはこの公式団体以外に数え切れないほどだ。 また個人有志としては著名人大江健三郎・坂本隆一・瀬戸内寂寵・山本太郎などがいるようだが、一人での参加者が圧倒的なところ見ても、裾野は大きく拡がっているといえよう。
 福島第一原発事故で未だに16万人もの人たちが避難生活を強いられている現状や東北地方全域に及ぶ風評被害や首都圏にまで及んだ放射

動画 7/20首相官邸前まであと50m 
線被害の現実を見ると、これからの日本のエネルギー政策として、原発に頼るわけにはいかない、原発は過疎地域・地方への差別そのものではないか、倫理的に原発は許されないのではないか、原発に頼ると子供達の健康は守れない、という素朴な感情から始まったものだ。
 この夏はかなりの猛暑であったが、結局のところ電気は足りている。なんだったのか、あの電力不足の
 7/27官邸前まであと30m 脅しは? 電力会社・財界と政府一体となって電気が足りないと国民を脅してきた原発再稼動推進も、その根底たる理由がまったくの根拠のない嘘であったことが、誰の眼から見てもいまやはっきりと分かってきた。こうしたことから、国民に真実を語らない野田政権の脱「脱原発依存」への傾斜は、国民の反発を買うのは当然でもあるだろう。
 集会には、初めのうちは300人程度だった参加者も、次週には1000人、その次は2700人、4000人と増え続け、5月5日に「原発ゼロ」となったものの野田政権が8割近い再稼動反対の世論を無視して再稼動に舵を切るや、一気に参加者が12000人、45000人と増えてきた。
 なかでも、7月16日代々木公園を十数万人の人が埋め尽くした反原発集会が敢行されるや、今まで黙殺・沈黙を決め込んでいた大手新聞テレビ等のメディアも無視できなくなり、過去最大級のデモ参加者として 小さなニュースとして取り上げた。これによってさらに参加者が増えたことは間違いなかろう。フランス
のル・モンド紙では、毎週のように繰り広げられている官邸前集会をNHK初め大手メディアが一切報じてないことに疑問の記事が出たそうだ(日刊ゲンダイ外務省の日本関連報道)。
 それまで東電という最大のスポンサーに気兼ねして反原発集会について報じないメディアに対して、自由報道協会に属するジャーナリストたちのブログやTwitter、Facebookでの報告が大きな役目を果たしてきたようだが、いまや全国のありとあらゆる原発に疑問を感じている人々がTwitter
8/3国会議事堂前〇〇〇〇
やFacebook等のSNS、インターネットでの情報交換で結びついている。 中東の「アラブの春」を支えたネットでの集会参加が、この日本でも始まったともいえるだろう。
 「反原発集会に集まってる奴は革マルや中核派だ、一般人があんなデモに出るわけない」などと言っている自民党議員や評論家もいるが、そのようなとらえ方はシリアのアサド派の発言と同じレベルのものだ

     8/10国会議事堂前
ろう。確かに7月29日の日比谷公園での集会では、地下鉄出入口階段上で革マルがビラを撒いてはいたが、集まってきた人皆が革マルに見えるとすると、その方は大衆不信に懲り固まった、「国民」を語る資格のない方ではないだろうか。
 毎金曜日に実際に行ってみると、日の丸を掲げた自称「右」を名乗る団体もいるし、隣近所のおじいさんおばあさんが誘い合ってきたグループもいる。会社帰りのサリーマンやOLの姿もある。小さな子供をつれた母親
が多いのも眼につく。また、福島から首都圏に避難してきた人や集会の度に福島から来ている人々もいる。子供を抱っこして福島からやってきた若い母親もいた。
 官邸前周辺では警察によって狭い歩道に押し込められて身動きできない状態のため、あふれた人たちは国会正門前周辺に集まり、また、原子力規制委員会の人事案が原子力ムラ出身者ばかりということでの反対のため 、環境省や経済産業省前までも人、人、人で毎週金曜日は埋め尽くされていると言ってい
いだろう。もはや何万何千人集まったかなどと数えてはおれないぐらいの人出だ。
 新聞の報道などでは「デモ」と書かれていることもあるが、これはあくまでも官邸・国会前での「請願」活動だそうだ。警察もデモと捉えると禁止・封殺せざるをえないし、主催者もとにかく反原発・再稼動反対の声を首相・国会議員に届けたいという一点で、 警察の『ご指導』のもと、デモではなく歩道での平穏な「請願」、たまたま人が集まりすぎて行き場がなくなり立ち止まっての集会となっているのが現実なのだそうだ。

7/29日比谷公園「脱原発国会大包囲」集会・デモ
 実際に「請願」としての「紹介議員」ではないが、国会議員が幾人も集会で発言している。福島瑞穂(社民)、阿部知子(社民)、志位和夫(共産)、笠井亮(共産)、東 祥三(国民第一)、森ゆう子(国民第一)、相沢しの(国民第一)、三宅雪子(国民第一)、田中康夫(新党日本)、川田龍平(みんな)、亀井静香(無所属)、河野太郎(自民)、山田正彦 (民主)、鳩山由紀夫(民主)、川内博史(民主)、等など。日の丸を掲げ

  日比谷公園、君が代を歌い天皇の写真を掲げる人も
た「右」も参加しているようにありとあらゆる党派が参加しているのだが、衆議院で消費税関連法案が可決され、大飯原発が再稼動され、離反議員たちが離党ししていった後は、民主党の 「中間派」といわれた議員たちが演説に立つと「帰れ」コールの大合唱となるのと対照的に、「国民の生活が第一」党には「がんばれ」の声援が飛ぶ。河野太郎を除いて自民党、公明党は一人もいない。今後の原発行政でのスタンスが鮮明になっているともいえよう。
 回も重ねて、毎回国会議員の演説が続くわけではなく、集会に参加した一般の市民が入れ替わりマイクを握
って、自らの原発に対する思いを語っている。中には広島で原爆に被災した老人もいれば、中学生もいる。特に参加者の注目を集めるのが福島で原発で被災・ 避難した人たちの声だ。福島から子供を負ぶってわざわざこの集会に参加した若い女性もいた。 福島の仮設住宅に住む若者が集団で参加したという青年たちも。原発事故の処理のため毎日現場で働いている人の話もあった。
 因みに、これらの演説を聞くには、早めに現場まで行き、前へ前へと進んでおかないと聴こえない。この毎週金曜日の首相官邸前集会は、政府が「原発ゼロ」の方針を宣言するまで続ける予定だという。
 7月16日の代々木公園での集会以降は、参加者が急激に増えたため、取り締まる側の警察も「市民」を相手にどのように規制・制圧すればいいのか分からないのか、しばらくは官邸から国会議事堂周辺までのいたるところ鉄柵と警察の護送車・装甲車で車道にはみ出さないようにバリケードを作り、 異常なまでの人数の制服機動隊で警備に当たらせ(地下鉄駅構内まで機動隊だらけ)、定年退職後と思えるほどの年配の(臨時の?)私服刑事までも動員して皆ビデオカメラを持ってマンツーマンに近いほどの非礼な振る舞いで参加
7/29日比谷公園から東電本社・新橋をデモ
者を盗撮していた。この私服刑事たちとのいざこざがあちらこちらで繰り広げられてもいた。
 かつての過激派対策しか知らない定年退職後らしき年配の刑事連中は、一般市民が民主主義の根幹である示威行動に出ることさえも敵対心丸出し、不穏分子 ・危険分子扱いの対応しかできないのだろうか。彼ら自身が、「平穏なデモ集会ではダメで過激な闘争でしか権力には対決できないんだよ」と教えてくれているのだろうか。

7/29経産省別館前で  東電前動画
 法秩序を守らせる警察、実はその警察の頭の中には反民主主義的な「力による統治」のことしかなく、法も何もあったものではない権力意識で成り立っているのか。この行き過ぎた過剰警備と監視活動は、何十年も前、機動隊の催涙弾水平打ちに慣れきった筆者にさえも異常に見える。日本にはやはり真の民主主義はない。
 この異常な警備、厳しい規制は、中国において天安門前広場に人が集まらないように武装警官を配置して、全世界から「中国には民主主義がな
い」と言わしめた状況とほとんど変わらないだろう。 また、大手メディアがこの警察による過剰な押さえ込みを一切報じないことに、中国を非難する資格があるのかなと言いたくなる。
 ところが、今にも逮捕してやろうかとばかり意気込んでいる私服刑事たちとは裏腹に、機動隊ではなく所
轄のお巡りさんたちは人込みの中に取り残されても、人のよさそうな顔で人の流れを整理しているのだ。中には小さな声で 参加者の「原発反対」「再稼動反対」のシュプレヒコールを小さく口ずさんでいる者もいた。
 あまりの過剰警備に、参加している弁護士たちが「官邸前見守り弁護団」を結成し、警視庁に抗議声明を発して以降、最近は私服刑事による人権侵害にもあたる露骨な盗撮は少なくなったように見える。が、機動隊の指揮車の上からず〜っと望遠で撮影している風景は変わらない。

動画   8/17国会議事堂前〇〇
 司法書士が原発被災者支援をうたいながら、こうした政治的な活動に対しては極端なまでの自制、そんなあり様には支援とは程遠いものを感じてしまうのは筆者だけだろうか。集会やデモが70年安保の時代以後、40年近く何もなかったと報じられているが、そうであればなおさらのこと、民主主義の基本である

  8/24議事堂横から官邸方面
集会の自由、デモの自由が「政治的であればあるほど」どれほど警察によって厳しく制限されているかを実体験できる、40年ぶりに訪れたいい機会と考えて参加してみてはどうだろうか。この機会を逃しては多分二度とこないかもしれない。
 民主主義の根幹である選挙権、これを一生体験したことがないとなると可愛そうな話だが、 その例と同じようなもので、権力者側が嫌う集会・デモ未体験のまま一生を終えるのかといった問題かも。上へ