丹沢、水沢川倉沢(桃ノ木沢)

あの山この沢

丹沢、水沢川倉沢(桃ノ木沢)
滝が一つもなく水流もない沢だが、
焼山沢と倉沢の痩せた中間尾根を楽しく下降
 

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桃ノ木沢林道終点
先で二俣で出合う


ほとんど水流はなく
ずっとゴーロが続く

ナメ状の涸滝
(最初の滝)

水流のあるナメ滝
(最後の滝)

傾斜が急になっ
てもゴーロが続く

最後は植林帯の
急斜面をひたすら
直上する

焼山へ2.3kmの標識
のある稜線登山道
に飛び出す

ピーク上の赤松

ピークから急勾配
の痩せた尾根を
下るようになる

尾根上の最狭部
岩稜帯、両側が
切れ落ちている

岩峰を降りきった
地点から振り返っ
て見上げる

岩稜帯を過ぎ
ても急勾配の
痩せた尾根

モミの木の巨木

手入れされた
植林帯も
傾斜は急

鹿柵沿いに
下って、林道
手前の出口

コースタイム
奥野林道通行止めゲート350m伊勢沢林道に入る(8分)桃ノ木沢林道分岐360m
(6分)桃ノ木沢林道終点420m左俣に入る、すぐ水涸れる
(25分)
二俣480m左へ、水現れるがすぐ涸れる(10分)水流ある3mナメ滝525m
(20分)二俣状(壊れた作業看板あり)620m左へ
(20分)稜線登山道(標識=焼山へ2.3km)
740m(10分)ピーク770m
(30分)鹿柵始まる550m(10分)焼山沢出合
400m(13分)車止めゲート

2007年3月10日
奥野隧道から奥野林道に入り水沢川左岸沿いに1kmも緩やかに上流に向かって下っていくと、水沢川本流を右岸に渡る水沢橋が架かり、一般車通行止めのゲートがある。林道はここから左に登っているのが大平に向かう奥野林道、右に少し下っているのが水沢上流に向かう伊勢沢林道となる。
★このあたりの水沢川の水量は少ないが、上流には柏原ノ頭から焼山に至る焼山東尾根、焼山から黍殻山の稜線、黍殻山からガタクリ峰を経て松茸山に至る尾根に囲まれた広大な流域を持った早戸川の大支流だ。
★ゲートから舗装された伊勢沢林道に入り5分もすると、右に水沢川本流(伊勢沢)をわたる橋が架かり未舗装の桃ノ木沢林道が始まる。ここから少し傾斜のある倉沢右岸沿いの林道を進むと、倉沢と焼山沢二分かれ、大ナメのある焼山沢を渡り倉沢沿いの道になる。
昭文社のエリアマップ「丹沢」では、この大ナメを持った西へ食い込む沢が焼山沢、北から流れ下っている沢が倉沢となっているが、地元の林業関係の人の話では、この北へ伸びる沢は「桃ノ木沢」といい、したがって右岸沿いの林道も桃ノ木沢林道というのだそうだ。そして、この大ナメを持った沢が「倉沢」だそうで、焼山沢なんてないそうだ。
地元での沢の名称が、地図上では1本ずつずれているのはよくあることだが、とりあえずここでは昭文社の地図による林道終点を流れている沢を「倉沢」としておく。
桃ノ木沢林道の終点から踏跡を辿って数メートルで、沢は二俣となる。左岸に渡る踏跡に入ると、鳥屋の平戸から焼山への焼山東尾根の登山道に飛び出す仕事道が伸びている。登山道まで標高差は130mぐらいしかない。このルートについては「水沢川焼山沢」のページを参照のこと。
★踏み跡を対岸(左岸)に渡らず直進すると、左俣(本流)に接し、少し滑りやすい草付き岩盤をへつって、ゴーロの河原に入れる。石ころ伝いに進んでいくと水流はすぐに涸れて、単調なゴーロ歩きとなる。
★二俣状を左に進むと水流が現れるが、ほんの少し進むと右岸に水が湧き出ている岩が見え、水流はそれで終わりだ。この後もう一度ほんの少し水の湧き出しがある3mナメ滝を過ぎると、もうこの沢は水流も消える。たった2ヶ所しか滝(ナメ小滝)はないから、あえて通過する必要もない所でも岩を触って登ってみる。
★正面には急な植林の斜面になってしまうところが奥の二俣で、そこには右俣上部から昔は作業道が下ってきてここを横切っていたらしき壊れた看板がある。現在踏跡を探すのは困難だ。左俣はすぐに植林の斜面になるので、右俣に入ってみてもすぐにボサのゴーロになるので、やはりここは忠実に正面の左俣を登ることにした。
かなりの急斜面を植林を頼りに直登していくと何本も作業用の踏跡はあるが上に伸びる道にはなっていないので、その都度歩きやすいところをジグザグしながら登っていくと、鳥屋(平戸)〜焼山の登山道に出る。そばには「焼山へ2.3km」の標識があった。焼山沢の右俣(権現沢)を登りつめた位置(「焼山へ1.5km」)とそんなには離れていないことになる。
★ここから、右に行って桃ノ木沢林道の終点に下るのが一番お手軽な下降路だろうが、今回は、焼山沢とこの倉沢の中間尾根を下ってみた。
登山道に出たところは焼山方面から下ってきた場合の、最初のピークの北側を巻いた後の再び尾根道に出たところに当たる。したがって、左に進んでこの巻道に入らず正面のピークを目指して約30mほど草むらを登る。ほとんど踏跡はないが、赤い杭が何本か打ってある。登りきったら、赤松の巨木がある。
ピークから南西に急降下する非常にやせた尾根を下ることにする。行く手にもまたピークが目の前に見えるが、ピークからは鞍部が見えない。ピークを過ぎると、鞍部がこの尾根の最狭リッジ状岩稜帯になっているのが分かる。鞍部から左右に滑り落ちないように滑りやすい痩せ尾根を慎重に下って、岩稜帯をそそくさと渡って再びピークに立つ。
長ぼそいピークの向こうにはもうピークらしき峰はすぐそばにはないが、直近の下りの足元が見えない。先端まで行くとここが岩峰だと分かり、少し見回して3,4歩戻って北側の岩峰基部にズリズリ木や枝を持って滑り下って岩峰下に回り込んで、ここのピークは終了。
★さらに狭い急な尾根は続き、左右の倉沢や焼山沢はこんなに谷が深かったっけと思いながら下る。尾根が急勾配なだけに見晴らしはけっこういい。この尾根は赤松が多い。
★三度ピークらしきところには大きなモミの木が屹立している。
しばらくすると、やっと尾根は緩やかになって尾根も両側も植林帯になる。迷うことなく尾根に忠実に下っていくと、左側に鹿柵が始まり、鹿柵に沿ってなおも尾根を忠実に下っていくと、沢の音が聞こえ始め、なぜか鹿柵の中には入らなかったのに鹿柵の出口となる。この出口をくぐると、倉沢焼山沢出合の橋のところに降り立てた。
★ピークから焼山沢の橋まで45分ぐらいで下降できるが、上半分は痩せた急な尾根や岩稜帯を楽しめるなかなかいい尾根だった。

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