あの山この沢

丹沢、神ノ川岩水沢
ほとんど人の入らない沢、しかし大滝もある沢
 

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神ノ川広河原から本
谷(金山谷、仏谷)方
面、右は彦右衛門谷

岩水沢出合、
土砂で埋まったドラ
ム缶が目印になる

10m滝(F1)

F1上の5mナメ滝、
F1上にはきれいな
ナメ小滝が続く

18m大滝(F2)

18m大滝は右が岩壁
になってその右端の
窪みが登れる

18m滝の右を登って
落水を臨む、手前は
三条の右の流水

18m大滝すぐ上の4m
滝、左を流水の飛沫
を浴びながら登る

その上の5mナメ滝

二股、写真は右俣、
左右どちらもガレが
続くが、左が本流

右岸頭上に現れる崩
壊中の大岩峰、大小
の岩が崩落している

3段20m大滝

ザレ状のナメ滝

急傾斜のガレ場、周
りの泥壁も柔らかく、
異様な感じの地形

沢の出来始めのよう
な様相の源頭部、
傾斜は極端に急

ガレ場のどん詰まり、
脆そうな岩壁で行く手
をふさがれる。

岩壁基部の右手上
には地蔵尾根稜線
がすぐそばに見える

登りついた尾根から
主脈縦走路方面、
ミカゲ沢ノ頭

鹿落とし、
はるか下に岩水沢、
倒木のため要注意だ

危険箇所には要所
要所ロープが張って
あるが、、、、

ロープに感謝!

カニの横バイ、
落ちれば小谷まで
滑落するだろう

剣の刃渡り、
ここも岩水沢側、小谷
側とも切れ落ちている

造林小屋跡、
いつどんな仕事をここ
でしていたのだろうか

神ノ川(金山谷)から
の地蔵尾根取付点、
岩水沢出合のすぐ隣

コースタイム
神ノ川ヒュッテ560m(45分)河原725m(3分)神ノ川河原690m
(7分)岩水沢出合720m(12分)F1、10m滝下770m(13分)F2、18m滝 下855m
(15分)4m滝上875m(23分)二俣1050m(3分)大崩壊岩峰1060m
(8分)
3段20m滝下1120m(10分)ガレのどん詰まり1210m(13分)地蔵尾根稜線1275m
(20分)カニの横バイ1180m(25分)馬酔木(アセビ)平925m(18分)神ノ川(金山谷)720m
(10分)
神ノ川林道→(40分)神ノ川ヒュッテ

2003年5月24日
神ノ川 は広河原で右(左岸)から広大なゴーロと大きな堰堤で彦右衛門谷が合流して、それより上流は金山谷と名を変える。蛭ヶ岳を源流とする仏谷が本谷ではなく、蛭ヶ岳から主脈縦走路を約2km西に下った神ノ川乗越にツメ 上げる谷を本谷とするようだ。こちらの谷には金山谷と名付いてることから、金山谷が本流というわけだが、どこから金山谷なのか正確にはわからない。人によって違うようだが、通常は、仏谷と金山谷に分岐する所までを神ノ川というようだし、そのほうが分かりやすい。
★神ノ川に流れ込む沢は流程の長いものが多いが、アプローチは長い(車止めルートから出合まで約1時間)もののこの岩水沢は比較的短時間で遡行できる沢だ。
林道のヘアピン手前のガードレールの切れ目に「蛭ヶ岳(健脚者向き)」の道標がある所から、排水溝の中を川原に下る。
広河原から神ノ川本谷に入ると、左からまずガレ沢、次に水量の多い小さな沢が斜めに合わさる。その次に川の真ん中に大岩のある右岸からゴーロで合流しているのが岩水沢だ。 出合のゴロタの中にドラム缶が埋まっているのを目印にすればよい。地蔵尾根中腹に造林小屋跡があるが、その昔そこから転がって岩水沢を流されてここに埋まったのだろうか。
★沢に入ると、すぐに小滝が続くゴルジュとなる。出合からは想像できないほどの水量だ。
10m滝F1は釜に入って滝壁真ん中の少し窪んだ所を登る。
★F1上にはすぐに5mトイ状のナメ滝がある。
★いくつか似たようなナメ滝や小滝を過ぎると、18m滝F2となる。滝下に右岸から小沢が合流している。
18m滝は、落水が3条になっている。いちばん右のルンゼ状をシャワー覚悟なら登れなくはなさそうだ。しかしもっと楽に登れるところを探すと、その流水ルンゼの右の乾いたスラブの端に溝がある。この溝は枯れ葉や苔で覆われているが、慎重にホールドや足場を探せば、何とか楽に登ることができる。
★このスラブの基部、左岸岩壁の下は大きな岩小屋になっている。この滝はこんな所まで水流が抉るほどの水量が、その昔はあったのだろうか。
★18m滝上には小滝が2つ続く。4m垂直の滝は左端を、5mナメ滝は手前の一枚岩スラブを登る。このスラブはホールドがほとんどない。
★単調なゴーロを進むとやがて水が涸れ、二股となる。右はガレのまま地蔵尾根に突き上げていそうだ。
ゴーロ状の左俣に入ると、すぐに左手(右岸)頭上に巨大な崩壊途上の岩峰が見える。この崩壊中の岩峰から膨大なガレが沢を埋め尽くしている感じだ。
★その上で水が再び現れ、3段20m滝となる。この滝はさして困難なところなく登れる。
★滝上はザレのようなナメ滝、岩は岩なのだろうが、泥のような色をした表面はザラザラの岩床だ。
★このザレ状ナメ滝の上で沢は二俣になり、水は消える。
右に入ると、ガレは幾筋も分かれるが、最後まで本流らしき一番大きな窪みのガレを登る。傾斜も急で足場がすぐに崩れるガラガラのガレだが、左右の泥の潅木帯に上がらず詰めていく。もうこのあたりで右手上には地蔵尾根稜線がすぐそばに見えるが、最後まで詰めるほうが、多分楽だろう。
最後には脆そうな岩壁に突き当たる。この岩壁よりも、右手上の地蔵尾根の稜線の方が低く見え始めるので、岩壁基部を右に回り込んで、そのまま右に 斜上し、最上部でやや右にトラバース気味に上がると、藪漕ぎ一切なしで尾根に達する。地蔵尾根の五葉松の峰といわれる5つの岩峰の少し上部(1275m付近)に出る。
ここから地蔵平までは標高差にして約100m、約15分の距離だ。 もう1つピークを越して、樹林の急な尾根を登ると、ひょっこり疎林の草原に出る。ここが地蔵平だ。植生保護のため、歩き回るのはよしたほうがいい。登山道は地蔵平の東側をトラバースしているので、地蔵平に出て右に10分も 下り気味に行くと登山道に合流できる。
★さて、下山は、登りついた地点から地蔵尾根の核心部を通って下降する。
まずは右は岩水沢まで落ち込み、左も小谷まで切れている「鹿落とし」の通過。次に痩せた岩稜帯。随所に張ってあるトラロープを目印にルートを誤らないように且つ転落しないように慎重に下る。「カニの横バイ」、「剣の刃渡り」(第3岩峰)など地元山岳会(藤野山岳会)の人たちによってつけられた名称(名勝)を楽しみ、第2、第1岩峰は右を巻き、核心部は終了だ。
★少しなだらかになり、尾根も広くなってくると、ワイヤーロープやトタン板、ドラム缶、一升瓶などが散在する場所に出る。昔造林小屋らしきものがあった跡らしい。うっかりワイヤーに首を引っ掛けないように注意が必要。このあたりより下方を馬酔木(アセビ)平というらしい。
広い尾根の左側を通っていた道が尾根に直交し尾根の右手に急下降し始めると、この尾根ルートの次の核心部だ。猛烈な急斜面を、それもザラザラな斜面を、木立に掴まったり滑ったりチョクチョク落石しながらジグザグを繰り返し、一気に神ノ川まで200m下降する。比較的幅の広い尾根だからルートを見失わないように気をつけよう。
★岩水沢を遡行中のパーティーがあったら落石には最大の注意をしなければならないだろう。
★川に降りて右に1分も下ると、岩水沢出合だ。
川原から林道に戻る草地帯でルートを見失う恐れがあるが、なるべく上部の堰堤際を目指せばよい。堰堤際から10mぐらいのところに下ってきた排水溝がある。
地蔵尾根を登路として蛭ヶ岳などに向かうには、かなりの体力を消費する。しかし、下りに利用するよりは安全だろう。また、冬期一度でも降雪があると、上部の岩稜帯の日陰は氷が張り付いて非常に緊張する登攀を強いられる。特に剣の峰のアップダウンは厳しい。冬期の下降はよしたほうがいいだろう。
冬期参考タイム(2000年2月19日)
地蔵尾根取付点→(30分)馬酔木平→(45分)第5峰(八方睨み、鹿落としの手前)→(35分)地蔵平

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