あの山この沢
丹沢、早戸川円山木沢
手強い大滝とゴルジュの連続する急峻な沢も
滝場の終わったなだらかな最上部にはまだ雪渓が
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コースタイム
本間橋(旧丹沢観光センター)585m→(20分)伝道685m
→(5分)円山木沢出合710m→(20分)25m大滝上770m
→(30分)ゴルジュの出口の15m滝上830m→(5分)8m滝上845m→
(13分)20m大滝上900m→(15分)ゴルジュ上965m→(7分)幅広5m滝上1005m
→傾斜の緩い平凡な沢になる→(10分)幅広6m滝下1045m→藪沢っぽくなる
→(10分)左から苔むした水量の多い沢1100m→右へ→雪渓始まる1120m
→(15分)二俣1160m→右へ→(10分)右の小尾根に取り付く1220m
→(15分)尾根上1315m→(5分)無名ノ頭1350m→
無名ノ頭と本間ノ頭のコル1325m→(8分)本間ノ頭1345m→
(25分)右手に鹿柵始まる1020m→(20分)小沢を渡る765m→(15分)本間橋
2005年4月10日(1998年9月20日、1994年
6月4日)
★早戸川林道の終点まで車を突っ込むとゲート手前の車返しや路肩に早朝から釣師たちの車が止まっているので方向転換しにくくなる。少し手前の閉鎖された丹沢観光センター入口の手前(本間橋付近)が比較的駐車しやすい。円山木沢に向かうには1、2分余分に歩くようになるが、下山に本間ノ頭からの道をとるならこの方がその分だけ楽だ。
★丹沢観光センターは2004年の9月末に営業を終了している。林道より下にあった管理棟やバンガロー、施設内道路の橋等はすべて撤去されているが、本間橋手前の山側にある宴会棟はまだ残っている。
★ゲートの横をくぐり本谷に架かる魚止橋を渡ってすぐ左の山道に入れば、大きく迂回している林道をショートカットして上の林道に出れる。
★林道をそのまま伝道まで行って、右上に向かう雷平・大滝方面への左岸水平道に入らずに、伝道沢にかかるコンクリート橋を渡って本谷沿いの踏跡を辿れば行き止まりで自然に早戸川本谷に降り立てる。
★対岸に流れ落ちてきている沢が円山木沢だ。出合には大きな岩が重なっていて、その下は5
、6人は入れるほどの空洞になっている。底は川砂できれいに平らになっているが、増水したときは岩の奥(上流側)から水が入るので年に何回かは水流によって清掃される仕組みで、本格的な雨の時に雨宿りは決してしてはいけない。
★円山木沢は初めは大きな岩の重なりで幾重もの小滝状になっている。この岩を乗越して行くのが面倒なら、出合のほんの少し下流から沢の右岸台地の樹林の中に踏み入る踏跡があるのでこれを伝って行き、沢の左岸に渡る。大滝直下までこの左岸伝いに登れる
(冬期円山木の大滝で氷曝を楽しむならこのルートをとる)。但しこれでは途中の5m、3m小滝を通過してしまうことになるので、水流沿いにあえて行くほうが楽しい。ハングした小岩の滝は乗っ越せないが、他の滝は難しくはない。
★25m大滝は水流右の乾いた岩にハーケン等が連打してあるが、上部が非常に厳しい。下部は階段状になっているので簡単に取り付けそうだが、上部のスラブの最後5mぐらいはホールドがなく戸惑う。左手を目いっぱい伸ばすとしっかりしたホールドが掴める。この後は傾斜が緩むので、
水流寄りを摩擦を利用して慎重の這い上がる。乾いた渓流シューズやドロのついたシューズでは難しく、かえってクライミングシューズがベターかもしれない。この大滝の真冬の氷曝はこちら。
★落口にはハーケンが5箇所ぐらい打ち込まれている。7m奥にはしっかりした立ち木がある。
★この大滝は右(左岸)の急斜面を登って落口にトラバースすれば簡単に巻ける。
★このすぐ上で沢は直角に右に曲がりゴルジュを形成している。入口のチョックストーンを右から越すと狭い釜になっていて、その先で大岩による8mのチョックストーン滝となる。ここにも深い釜がある。正確には覚えていないが確か昔は手前のチョックストーンはなかったように思う,が、はて?勘違いか。たいしたことではないから書かなかったのか、過去2度の記録でもメモしてなく、記憶があいまいだ。
★チョックストーン滝は越せないので、このゴルジュ入口の左(大滝から見ると正面)の乾いた滝を登って巻く。意外とこの壁は難しくあなどれない。一番左のチムニー状部分が楽そうだが、正面もホールドは豊富だ。上の段まで上るとちょっと一安心ってとこだが、気を抜かないで右の落口方向へトラバース気味に登っていく。あまり大きく巻かないで8m滝落口とその先の15m滝の中間付近で急斜面をずり落ちるように降りることができる。ロープを出したほうが安全だ。
★一旦降りればさらに15m滝となるが、しかしこの幅広15m滝も容易でないから、左から高巻くことになるので、この8mチョックストーン滝の高巻から沢に降りてしまわないほうが楽だ。降りてしまった場合は15m滝を見物した後、また降りたところを登り返して、トラバースしてきたゴルジュ真上の急斜面の木立を掴んで直上する。ここもあまり高巻し過ぎないようにして、適当なところで15m滝落口方向にトラバースすると、ちょうど落口真上に直径20cmぐらいの立木が3本ぐらいあるので、これを利用して落口そばに懸垂下降できた。
★懸垂したくなければ、もう少し先まで急斜面をトラバースして落口と8m滝の中間に走り下ればよい(多分前回はこうして沢に降りたった)。
★8m滝は右の岩壁の外傾したバンドに乗り上がって越せる。見た目よりホールドは乏しくクラックを持ち上げるようにしてズリ上がる。
★少し行くと沢は左に曲がり、ここではるか上空から飛沫を散らせて落ちている20m大滝が15mナメ滝の上方に見える。
★初冬から春先にかけて木立の葉が落ちているとき、早戸川左岸の雷平への水平道を歩いていると、造林小屋を過ぎて道が右にカーブする手前で、対岸に円山木の大滝(下部の25m大滝)が見え、そのはるか上に大きな滝が見えるが、それがこの20m大滝だ。この滝を水平道から見上げると、下の大滝からいくらも奥行きがないほぼ真上にそびえて見える。円山木沢がつめ上げる丹沢三峰の稜線(1300mライン)はかなり向こうにあるのにこんなに手前の上空にあるということは、この沢の下部がかなり急峻であることを物語っている。
★15mナメ滝は濡れている所はかなりヌメっているので、なるべく乾い所を歩く。
★このナメ
滝を登ると正面は乾いた岩壁が広がり、右の上空から大滝が水流を落としている。下部はハングして一見裏越しの滝のように見えるが落水の左から見ると中空にはなってなさそうだ。この滝場は周りも開けて明るく広い。滝見物しながら絶好の休憩適地だ。遠方には黍殻山から焼山の稜線が見渡せる。
★この大滝は登ってきた正面の大岩壁と右の滝壁との境に近いルンゼ状の所から取り付いて、傾斜の緩んだところから落口目指してスラブをトラバースする。
★この大滝上でまたゴルジュとなり5m〜10mぐらいの滝が続く。どれも快適に登れて気持ちいい。なるべく水流通しを突破すのが簡単だ。ゴルジュ出口のチョックストーン滝は水流を登って途中から右の乾いた岩を攀じ登ると、上は涸れた苔で覆われた(夏場は苔むした)岩の台地風になっていて樹林の中からピンクテープが何本か目印についている。ゴルジュの下の方から大きく高巻いてくるルートでもあるのだろうか。
★幅広の5m滝を過ぎると沢は急に傾斜がなくなり平凡な河原になり、稜線も見えてくる。
★二俣状の左に幅広6m滝を右から越すと、沢はさらに狭くなっていくつか小滝を過ぎるが、その後は極端に狭い藪沢になってくる。丹沢三峰につめる他の沢は途中に滝場のない沢でも源頭部はどこも両岸崩壊した急峻で広いゴーロやガレとなっているのに、この手強い滝が連続する円山木沢は下部の豪快さとは裏腹に上部はだらしなくも細々の藪沢となって稜線に達する。
★右に左に沢は分かれていくがあくまでも水量の多い方に行く。今は雪解けで水量が多くどれが本流か見分けにくい。無名ノ頭から下降するにせよ、本間ノ頭から下降するにせよ、今日の最高地点無名ノ頭に達
するには稜線の一番高みへとルートをとればいい。
★雪渓の出始め(末端)で足をズブズブとられ、突端(先端)でズボズボ踏み抜いたが、中間部はまだまだ70cm以上の厚みの雪渓を快適に登高して最後に小尾根に取り付き、尾根上から頂上を目指す。頂上は無名ノ頭だ。
★無名ノ頭は、名のないピークで頂上の道標(宮が瀬8.0km、丹沢山3.0km)にも名称がついていない。だから「無名」の頭なのだ。
道標が「無名」ゆえに、丹沢山方面から下ってくると円山木ノ頭の次のピークで本間ノ頭と勘違いする人が多いようだ。
★少し下ってちょっと登り返せば、「宮が瀬7.6km、本間ノ頭、丹沢山3.4km」の道標のある本間ノ頭だ。
★1週間前には、本間ノ頭から本間橋(丹沢観光センター)への下山路にはまだビッシリ雪が残っていたのに、もう今日はほとんど消えていた。
★本間ノ頭からの下山コースは「早戸川本間沢」のページを参照のこと。