あの山この沢

尾瀬 至仏山
至仏山から尾瀬ヶ原の散策

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鳩待峠から45分で
尾瀬ヶ原が見えてくる

シラネアオイ
1属1種の日本特産種

オヤマ沢田代
ワタスゲがちらほら

見えるのは小至仏
岩峰の左

遠くに尾瀬ヶ原

所々で雪渓を歩く

小至仏への最後の登り

小至仏からの至仏山

至仏山への登り

小至仏を振り返る

山頂からの尾瀬ヶ原

少し下ってから

中腹から

森林限界付近から

尾瀬ヶ原に降り立つ

尾瀬ヶ原の池塘

コースタイム
鳩待峠
1591m(70分)オヤマ沢田代2030m
(30分)小至仏2162m(35分)至仏山頂2228m
(100分)尾瀬ヶ原1420m(4分)山ノ鼻1400m(60分)鳩待峠

2007年7月8日
仕事仲間の団体旅行で、言ってみれば社員旅行みたいなものだが、玉原高原&尾瀬という旅行企画があった。尾瀬ハイキングがメインだったのだが、当然もちろん宴会旅行がメインエベントでもあった、当たり前の話だが。
東京を立つときには薄曇りの天気も埼玉あたりで天気予報に反し雨となり、こりゃ終日宴会かというムードにもなったが、雨は一時的で群馬県に入ったら予報以上の好天気になってきた。1日目の玉原湿原(タンバラ)と吹割の滝見物をそこそこに、今宵の宿老神温泉に向かった。夜の宴会を楽しみにかなり出来上がっての到着だ。
ということで、尾瀬では尾瀬ヶ原散策コース、アヤメ平経由尾瀬ヶ原縦走コース、至仏山登頂コースに分かれてのそれぞれの団体行動の予定だったが、早くも前日のバスの中での各自の予定確認で、至仏コースの希望者は激減状態となった。
翌朝5時半、老神温泉を出発。皆前日の宴会の疲れを残してぐったりした状態でバスに乗り込む。朝、露天風呂から眺める空はどんよりとガスが垂れ込めていた。これは雲海のようなもので山は青空になるだろう。ピンポイント天気予報でも今日は雨は降らないことになっているので、予定通り至仏コースを選択。
戸倉スキー場でマイクロバスに乗り換え鳩待峠へ。もう既にガスは切れて好天の兆しだったが、結局はこのコースは4名となった。前夜の深酒はよくないね〜。
コースは鳩待峠→至仏山→山ノ鼻で、至仏からの下りが滑りやすいので山ノ鼻・至仏間は上りに使うのが通常だが、最終的に山ノ鼻に各コース集まることになっていたので、通常の逆コースでスタート。
入山口で早速地元のパトロールの人に今日のコースを聞かれ、なるべくならコースを逆にしてくれと指導される。もともと天気が急変したら引き返すつもりだし、具合が悪くなってもUターンの予定だからと話してにこやかに許してもらう。
至仏→山ノ鼻を下りに使うと危険ならそれだけを注意しコース変更を促せばいいのだが、自然保護を大儀名分に理由付けするのはいかがなものかと思うし、説得力に乏しく協力するパーティーも少ないのが実情だ。 自然保護にいささかの反対もするわけではないが、指導に従って山ノ鼻→至仏を登っていて、くたびれてUターンしたくなった場合どうすればいいのだろう。「危険(=注意)」なら注意して下ることもできようが、「自然保護(=禁止)」なら下ることもできない。
さて話しを元に戻して、鳩待峠からしばらくは木道の敷かれた登山道を、そして普通の登山道を、疲れをあまり感じさせない整備の行き届いたコースをなだらかに登っていく。 途中オゼソウやシラネアオイが寂しく咲いていた。
およそ30分も登ると尾瀬ヶ原がはるか遠くに見下ろせる所を通過する。なおもだらだら登っていくと標高がちょうど1890mぐらいのところで、尾瀬ヶ原の全貌が見渡せるようになる。
少し休憩してホンの少し急登するとオヤマ沢の源頭部を横切る。冷たい水をガブガブ飲んでまた登り始めると、今横切った小沢はすぐ上流で木の階段の中を流れていた。冷たくておいしかった水はこれだった。
一登りするとオヤマ沢田代に到着。こじんまりした湿原だが、花の季節が終わったかほとんど花らしきものは咲いていない、残念。ワタスゲがちらほらと見られる程度だ。
平らに少し行くと笠ヶ岳への木道を分けて、いよいよ小至仏への登りだ。森林限界も過ぎ、空は青空、西側水上町側からはガスが湧いている。右は眼下に尾瀬ヶ原を一望でき、稜線漫歩の快適な登高だ。
岩稜帯になって雪渓を2ヶ所通過してやっと小至仏に。頂上は20人以上はいるだろうか、オバサンたちがそこいら中に陣取って、立って休める場所もない。一息入れる間もなく、しかたなく至仏を目指す。まだだいぶん先だ。
岩稜のごろごろする中を一旦下って、クネクネと登っていく。岩は確かに滑りやすい。
至仏山頂は比較的広く、尾瀬ヶ原の全景を見下ろしながらここでやっと大休憩を取る。正面には少しかすんでいるが燧ヶ岳にかかっていたガスも切れてよく見える。すばらしい景色だ。前夜深酒に溺れなくて良かった、みんなバカだね〜と、来なかった人たちの哀れさを肴に4人で景色に見惚れた。
さてここからの下りは、最初の距離にして半分は木の階段が整備されていて快適だ。登りならばまるで「天国への階段」とでもいえそうだ。このままあっという間に尾瀬ヶ原に下りてしまうんではないだろうかと思うほど階段は一直線に急降下していく。 まるで階段はそそまま尾瀬ヶ原の木道に繫がっていそうだ。
ところが木の階段がなくなってからは、なるほど滑りやすい蛇紋岩ゴロゴロの急坂となった。先ほどの舗装道路のような快適な下りは、天国への階段ではなく「地獄への階段」だったのだ。幸いにも晴れていて濡れてないので、”すべって転んで”もなく4人とも無事山ノ鼻にたどり着けたが、上部のあの快適な下りに比べ予想外に時間がかかってしまうことになった。
途中3箇所ほど一枚岩の下りに数mずつ鎖が設置されているが、鎖に頼るほどのことはない。ちょうどこの鎖場の1ヶ所目で地元のパトロールらしき人たちと出会って、「下り禁止なのを知っているかと」詰問調で注意された。禁止とは知らなかったしどのガイドにも記載されてないが、まあそういう風な口調でしか語りかけれない奴とは議論は禁物。登り返せとは言われないだけ良かったと下り続ける。
森林限界手前のベンチで宿で用意してくれたおにぎりを食べた。もちろん指導員の質の悪さを品評しながらの肴つきだ。このベンチでゆっくり尾瀬ヶ原の景色を満喫し、 怪我でもして笑いものにならないよう慎重に下っていった。降り立った尾瀬ヶ原から山ノ鼻までの湿原でニッコウキスゲがポツンと一輪咲いていた。
山ノ鼻で生ビールで無事を祝って乾杯。散策グループと合流して鳩待峠に向かう。アヤメ平コースの仲間は途中で酒盛りをして遅れての到着となると無線連絡。
26年ぶりに尾瀬に来たが、山ノ鼻・鳩待峠間は峠付近の数十mを除いて全面的に木道が施されて格段に歩きやすくなっていた。その昔、テント山行で何度訪れても、いざ下山となると最後に登らなければ帰れないのが尾瀬の難点だとボヤキながらの登りだった。今はあのころの大変だった面影はもうない。というより、今日は軽装備のハイキンだからかもしれないが、楽な登り返しだった。

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