あの山この沢

那須連峰 阿武隈川南沢
甲子温泉から南沢を遡行して甲子山へ
甲子山から甲子温泉には短時間で下降

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南沢出合
出合付近の本流
は広い河原

F1、10m滝
水流の右を
簡単に登れる

F2、10m滝

大きな岩が
ごろごろしている
河原を登っていく

F3が見えた

F3、15m滝右を巻く

F4、10m滝

F5、7m滝
左壁をへつる
ようによじ登る

F6、12m滝
水流右を登る
この上で二股

F7、2段10m

F7の上段7m

F8、7mナメ滝
ここは簡単
に越せる

水量比1:1の
小さな二俣状
右に入る

F9、30m滝の手前

F9、30m滝

F10、6m滝

水量比5:1の
奥の二俣を左に
入るとゴーロとなる

水量は減り
藪に覆われてくる
最後は藪漕ぎ

稜線から紅葉に染ま
りはじめた甲子山頂
(左奥)を見上げる

甲子温泉まで下っ
てくると、登山道に
国道標識が

コースタイム( 6名)休憩は含まず
甲子温泉・大黒屋駐車場
900m本流左岸道経由(30分)南沢出合930m
(50分)F3、15m滝下1065m(55分)二俣1190m
(30分)F9、30m大滝下1245m(40分)奥の二俣1345m
(40分)登山道1505m(10分)甲子山頂1549m(10分)甲子峠分岐1410m
(50分)白水沢白水滝895m(5分)大黒屋

2007年10月7日
★いつもの山仲間から阿武隈川の源流南沢に誘われた。南沢は、那須連邦の北端に位置する甲子山の南面を源頭とする阿武隈川の支流で、出合から稜線までの標高差570mの流路の短い沢だ。
★前日夕刻、甲子温泉に到着したが、トイレや水の便を考えて、新甲子温泉の少し先(白河寄り)のキョロロン村まで戻ってそこの駐車場に車を止め、トイレや自販機のあるここで野営することに。4名が幕営、1名が東屋でツェルト、僕は東屋のベンチに野宿。夜空に星は煌き、夜間の冷え込みは厳しかった。
★朝寒くて朝食もそこそこに甲子温泉に向かい、大黒屋の下の方の空地に駐車、沢支度を整え出発。
★阿武隈川の南沢出合へのルートは3つあるようだ。1つは右岸沿いの作業道を出合近くまで行く方法、2つ目は大黒屋を通り抜けて本流を渡って登山道を少し登って左岸沿いに出合近くまで行く方法、3つ目は先の2つ 目の途中から早々に本流に下って本谷を歩く方法。
★3つ目のは堰堤の乗っ越しが大変との報告があり、2つ目のは一旦本流まで下って登り返しの無駄があるようだ。ということで、1つ目の右岸道を行くことにする。
★大黒屋前からはるか上方にある新道に向かう舗装道路を登っていくと、およそ5分ぐらいで右に本流沿いに下っている砂利道がある。これに入ると、すぐに新道の橋脚に行き当たり行き止まりのようになるが、橋脚際に上流に向かうための幅1mぐらいの通路が作ってあって通れるようになっている。その先に作業道がずっとつながっている。
★途中から狭くなるが、10分も歩かないうちに、右手から本流が近づいてくる。作業道と本流の河原が同じぐらいの高さになれば、右に下ればよかったのだが、出合へ向かう下降点が分からず、行き過ぎてしまった。先に見えていた前方に開けた谷が見えなくなり谷幅が狭くなって、左から堰堤で沢が出合う。どうも変だと、みなで地図を確認する。奥に来すぎてしまったようなので、少し引き返すと、先ほど本流が近づいてきたあたり(引き返すと本流が離れるあたり)の本流を望むとS字を描いて、左岸に一里滝沢らしき出合が見える。ここで本流の河原に降りたが、ちょうどこのところに「落石注意」の看板が2本立っている。どちらを降りても大丈夫だ。
★本流沿いに右岸を大岩を越えながら50mぐらい下っていくと、左から一里滝沢が出合い、そこで本流は右折し、ほんの少し先に茂みに隠れるようにして南沢が出合っていた。迷わないですんなり来れば、舗装道5分、作業道10分、出合まで3分ってところだったろうか。25000図では、出合の本流はダム湖のように描かれているが、この堰堤湖はもう土砂で埋まっていて、広い河原になっている。
★浅い流れを渡って、さぁここでワラジ(フェルトわらじ=モンベルの「サワーサンダル」)を付けようとザックを下ろすと、ザックの雨蓋を開けるとそこに挟んでおいたワラジがない!真っ青。僕だけいつものように地下足袋 で、皆はフェルトシューズだからここで時間など食わないはずだから、あわてて探しに今来た道を戻る。皆も一生懸命探してくれること1時間、右足しか見つからなかった。幸いにも、誰が落としたか古いフェルトシューズのフェルト部分だけを、それも左足を、仲間が拾ってくれていた。
★出合に戻って、左足用のフェルトに細いスリングを通して応急のわらじを作って、これで皆に同行することにした。この応急ワラジなかなかの出来栄えで、今後も何度かは使えそうだ。写真
★さてさて、下降点を迷ってしまったこと、フェルト探しに奔走したことで、およそ予定時刻を1時間20分過ぎて、いよいよ遡行開始。
★出合から比較的大きな岩のゴーロを進むとすぐにF1、10m滝だ。この滝は右から簡単に越せる。
★10分も行かないうちに大きな倒木がもたれ掛かっているF2、10m滝がそびえる。倒木の右側下から取り付いて、倒木をくぐって左に出て直上すれば落口を越せる。後はそれほど難しくはない。 下から見える落口から上の落口まではカール地形のようなナメで、水流際はヌルヌルで滑りやすそうだから、下から見える落口に抜けたら右の乾いた部分に逃げ て、上の落口に抜ければいい。
★F2上は、きれいな釜を持った5段の小滝が連なるが、今年の夏襲った台風による大雨のせいか、砂利や石ころで埋まっていて、言われるほどきれいという印象はなかった。 この沢全域で、滝つぼが土砂で埋まっていたり、上部では側壁が崩れていたりとかなりの豪雨だったことを思わせる荒れた感じだった。
★倒木の多い荒れたゴーロを登っていくと、3m小滝の向こうにF3、15m滝が構える。登れそうもないので、右から小さく巻く。しっかりした踏跡がある。
★F5上から10分ぐらいゴルジュの中の小滝を越していくとF4、10m滝となる。手前は倒木で歩きにくい。この滝は、垂直に立っているが、岩はボロボロしていて、これが意外とフリクションになって登りやすい。水流右を、なるべく水流に近いづいて乗っ越す。落口もボロボロしている。
★さらにゴルジュを進むと、手前に深い釜をもった2mナメがあり、ここで直角に左折する。この釜は、左壁をへつるか、右壁沿いにへつって最後に腿まで浸かるか、ジャブジャブ腰まで浸かって突破する。
★この先ですぐにF5、7mとなる。左壁から越せる。
★すぐ上にF6、12m滝がある。この滝は階段状で、傾斜も緩く、水流右を簡単に登れる。
★この上で、左俣が直角に出合う水量比1:1の二俣だ。これを右に入る。
★二俣を右に入ってしばらくで、2段10m(下段は3m、上段が7m)のF6となる。上段は右の壁に走るクラック伝いに落口を目指す。難しくはない。
★左岸が崩壊したガレを過ぎると7mナメ滝、F8だ。
★F8のすぐ上で、左から水量比1:1の小沢を迎え、右に入る。出合は小さな淵となっている。
★すぐに泥壁のV字谷の上に白茶けた大滝が見え始める。大滝F9は落差30m、先ほどまでの水流が減ってきたのがうそのように堂々と水流を落としている。下部は寝ているのだが、近づくと 瀑水ですぐにびしょ濡れになるので、左(右岸)の草付き泥壁に登って斜上して上半分の滝壁に取り付く。高度感はあるが、難しい滝ではない。
★この沢では比較的に大きな釜を持ったF10、6m滝は傾斜が緩く簡単に越せる。
★2,3mの小滝をいくつか越していくと、水量比5:1の奥の二俣となる。右に入ると、急峻なスラブとガレを登って藪漕ぎ5分程度で、甲子山直下に飛び出せる記録もあるが、所要時間はさして短縮できないようだ。
★ということで、この奥の二俣は本流の左沢に入る。ほんのしばらくは傾斜の急な岩ころゴロゴロの荒れた沢を登るが、傾斜が緩むと、側壁の赤土が崩壊し沢床も泥になってきて、水量もぐっと減ってくる。
★ほとんど傾斜を感じないぐらいの小川のような沢床を藪を掻き分けながら進んで、水も涸れると沢の地形がなくなってくる。かすかな窪みと藪の少ない方向を選んで進んでも最後には窪みもなくなるので、そばの小尾根に逃げて、笹薮の藪漕ぎで高みを目指す。水流が涸れ藪漕ぎになってからおよそ25分で登山道に出た。
★甲子山を目指して低い樹林帯を登りながら振り返ると、紅葉し始めた旭岳の威容がとてつもなく大きき見える。小さなピークを2つ越して甲子山山頂だ。
★山頂から甲子温泉に下る登山道は、はじめはまるでルンゼの中のようで傾斜もすごく急だが、泥でなく岩床なので滑ることはない。
★甲子峠からの道を合わせると傾斜も緩み、のんびりハイキング気分で下れる。
★猿ヶ鼻といわれる地点(標高1300m)からは四十八曲がりといわれるジグザグ道をひたすら下って、国道289号の新道の工事中のトンネルの真上に降りて、白水沢の滝見遊歩道を左に分け、さらに下ると阿武隈川本流対岸に甲子温泉大黒屋が見えた。ちょうど白水沢が本流に出合う場所で、すぐ上には白水滝と名づけられた滝があるが、滝に上に堰堤が見えて興ざめだ。
★本流を渡る橋には国道289号の道路標識が立っている。もちろん車は通れない、ただの登山道だが。
★大黒屋の露天風呂やプールを左に見て、橋を渡って大黒屋まで登り返し下山完了。大黒屋で一汗流すことにし、またこの橋の高さまで館内の階段を下っていく。風呂上りにはこの長〜い階段が待っていた。

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