あの山この沢

八ヶ岳 阿弥陀岳北稜
やさしい岩稜と雪稜の厳冬期バリエーションルート

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文三郎道と分かれ
中岳のコル方面に

北稜枝尾根上に到達
した地点からの赤岳

霧氷の向こうに
雪で真っ白な横岳

下部ダケカンバの
疎林帯(傾斜は急)

前夜の降雪で白く
輝く硫黄岳(左)

ジャンクションピーク
への急な登り

ジャンクションピーク
からの第1岩稜

JPからの赤岳、
手前は中岳

ジャンクションピーク
からの横岳

JPからの北アルプス
手前は阿弥陀北西稜

第1岩稜への急登、
眼下に行者小屋

第1岩稜の
先行パーティー

第2岩稜直上の両側
切れ落ちた雪稜

左には目の高さに赤
岳、もう中岳は眼下

雪稜を慎重に登る、
高度感抜群

真下は中岳沢、
頂上はもうすぐだ

頂上直下、この上で
一般登山道に合流

キレット、権現岳、
左後方に富士山

中岳のコルから
見上げる阿弥陀

中岳斜面の下山
途中から見た北稜

参考タイム(7人パーティー・ロープ1本)
行者小屋2350m(40分)北稜枝尾根へ取付き点2470m
(10分)
北稜枝尾根上2500m(40分)ジャンクションピーク2610m
(20分)第1岩峰下2670m(100分)第2岩峰上2750m(3分)縦走路合流2780m
(5分)阿弥陀岳頂上2805m(30分)中岳のコル2645m(30分)行者小屋

2003年2月9日
★この阿弥陀岳北稜は過去2度登ったことがあったので、文三郎道を経由して中岳のコルから一般コースで阿弥陀岳に登ろうという雪山ハイキング(?)計画が持ち上がったとき、積雪が深くなるこの時期に雪壁状にさえなる阿弥陀を登下降するぐらいなら登りは北稜にしようよっていうことで、7人の大パーティーで挑戦。
★行者小屋から10分ぐらいで文三郎道を左に見送り、しばらくは中岳沢の谷底を進む。阿弥陀への夏道はすぐに右手の斜面の樹林帯に入るが、樹林帯のラッセルを避けもうしばらく谷を進み、右手斜面(北稜枝尾根)の樹林が消えた辺りから尾根に一気に急登するのが一般的(もっとも積雪が浅いといつまでも雪の斜面にはならないが)。
登り着いた所は北稜そのものではなく(北稜は目の前にある大きな尾根写真)、北稜ジャンクションピークからの枝尾根である。夏道はこの尾根の下部を登ってきているが、尾根通しにはなく、上部の急登を避け右の北稜との間の窪地を通り、ジャンクションピークの下部で左中岳沢側斜面をトラバースすることになる。
★どこからでも強引によじ登った枝尾根は上部になるとかなり痩せてくるが、右手の大きな尾根(行者小屋に至る北稜)が雪原で迫ってきて、雪庇状張り出しを乗っ越すと、そこが通称ジャンクションピークである。
北稜登攀の醍醐味はこのジャンクションピークから上部で、この呼び名は北稜登攀者たちによって名づけられたもののようだから、中岳沢側からはとにかくこのピークを目指せばよい。地図では、北稜下部にもっと顕著なジャンクション(分岐)があり、実際上部から眺めても白いピークが見え、その先で行者小屋方向に伸びる尾根とさらに北進する尾根に分岐しているようだが、こちらをジャンクションピークと勘違いすると、遠回りルートになるだろう。
★ジャンクションピークから急な雪稜を登ると岩稜が現れるが、もうこの時期(2月)では雪にほとんどが埋まっていて、少し露出した岩やダケカンバの枝を掴みながら登ると、第1岩稜に到達する。
第1岩稜は正面左から取付くのが素直なようだが、左に回りこんで凹角を攀じれば、ロープがいるほどのことはない。雪が多ければさらに左を進んでこの岩稜を避けることもできるようだが、雪の着き具合では、かえって怖い雪壁登攀になりそうだ。
★昨晩から明け方までの降雪で、どのホールドも雪が凍りついていて、細かいホールドを掴みにくいことはなはだしい。
凹角を攀じると右に回り込まないで、すぐに岩稜のてっぺんに乗り上がれば、さして苦労することなく第2岩稜に達する。この第1岩稜には、雪稜に変わる所にここにビレーロープをセットしてくれといわんばかりのピナクルがある。
第2岩稜もほんの3〜4mの岩峰だが、正面右の斜上する凹角を攀じるのがベストコース。左端から攻めると上部で窮してしまった。結局右に移動することになる。
第2岩稜の上はすぐに狭い雪稜になる。この北稜唯一の両側切れ落ちた雪稜ともいえるが、距離はほんの数メートルだからロープが必要なほどでもない。しかし、第2岩稜でロープを出すとビレー点が見つからず、結局この雪稜最上部に見え隠れするダケカンバの太い枝をビレー点にするしかないだろう。
★この上も、さらに雪稜は続くが、程なく左手から一般コースが合流する。もっとも、積雪が深いときはこの一般コースからの登山者はいないだろう(踏跡などないだろう)。なだらかに数分登れば阿弥陀岳山頂である。
★中岳のコルへは積雪が多いと非常に厳しい下降になる。今回はまだ一部夏道のジグザグが残っていたが、完全に雪壁状になると、北稜からの合流点の少し下から後向きで降りるか、懸垂下降することになる。
中岳沢の下降には雪崩の危険に十分注意! 過去14名もの死亡者を出しており、八ケ岳全域で最大の危険地帯であることを忘れないようにしよう。
★雪崩を避けるコースを探すのは難しいが、右に右に中岳側の斜面を下降し、樹林帯に逃げ込むルートどりをしたい。足を踏み出せばどこでも下れる。
★今回は、比較的気温も高く快晴であったのよかったが、初心者含む大勢で挑戦したので、非常に時間がかかり(行者小屋から頂上まで4時間20分)、強風の中猛烈に寒い思いをした。寒いと臀部まで震えがくる体験をした。余談だが、臀部の震えは体温保持になかなかの効果があるものだ。
★単独であればかなり短時間で往復してこれる。
◎多雪期参考タイム(1998年3月21日)  行者小屋→(20分)北稜取付き点→(30分)ジャンクションピーク(90分)阿弥陀岳頂上(25分)中岳のコル→(25分)行者小屋 (行者小屋から頂上まで2時間20分)

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